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Everyday is Re:lighted

聴いた音楽や遠征日記などなどなど

映画「ピンクとグレー」感想

映画

映画「ピンクとグレー」を見てきました。初回観劇は1/12、2回目は1/23。初回はどうしても原作を追随する形で観てしまったため、原作と映画の違いを理解するのにいっぱいで混乱して殆ど話が分からなかったので、これはいかんと思って2回目を見ることにしました。もしかしたら原作を知らない人のほうが、物語がどこに向かってどうオチがつくのか、すっと頭に入っていくのかも知れません。

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以下原作・映画ともにネタバレの感想となりますのでご注意ください。

 

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まずは大好きな原作の話をさせてほしい。原作は、ごっちとりばちゃんという2人の親友が主人公。りばちゃんが語り部ではあるものの、ピンクとグレーは完全にこの2人の物語であって、そこに他者が入り込む余地は全くありません。道を別けたかつての親友と過ごした青春時代をシンプルに回想し、たった一晩の再会に一瞬、2人の未来を照らす光。そしてごっちの死後、りばちゃんはごっちを演じることでごっち側から見た世界を体感し、ラストシーンではとんでもない純度で2人の魂が結合し浄化していく。*1

こんな書き方をしたらシゲはおこるかもしれないけど原作未読で映画のゆうとりんと菅田くんにBL属性を刺激されたわーという方がいたらもう絶対原作のほうがお勧めですのでw是非手に取ってみていただきたいです。もちろん純文学なので体の結合などはないですけど(コラw

一方で映画版は、<りばちゃんのたったひとりの物語>だと私には思えました。

前半の淡く鮮やかな色をした【河鳥大の自伝的映画】に当たる部分は、それと思って見るとほんとうにごっち(河鳥)が大根で、りばちゃん(成瀬)やサリー(三神)との演技力の差が歴然。でも、1回目の観劇(映画内映画だと思わず見ていた時)は、ごっち(河鳥)のぎこちなさはカリスマたるゆえんなんだろな~くらいに思わされていたので、ギリギリのバランスで作られているんだなあと感心しました。*2

転じて後半、世界はモノクロに色を変えます。ここからが【現実】。なのに、芸能界がやたらとデフォルメされて描かれるせいか、後半こそがフェイクなんじゃないか?って思えてくる、いやいやそもそもこれ映画だから作りものだしwwってなったり…。こうやって観客を混乱させることで、芸能界に馴染めず【現実】でまたもや落ちこぼれてゆく河鳥と、同じ感覚を味あわせようという演出なのかも知れません。そもそも【現実】って?前半の【河鳥大の自伝的映画】は河鳥が作ったのもので、それも彼にとってみれば【現実】なのに…。

と思って観ていたら、河鳥が非喫煙者だった。えっえッあの歩道橋でライター交換する最高のシーン妄想かよ?!?!この事実が前半の【河鳥大の自伝的映画】は成瀬の言葉を借りればきれいごと、大幅に脚色されたものであることを教えてくれます。*3

天然で冷静に未来を見据えられず、努力もできないダメな男、河鳥。(ズタボロw) ああいう自伝を書くということはそういう自分であるという自覚はあるのだけど、結局変われず、立ち止まってしまう。前半と後半で2度描かれる「白木蓮吾のバーターを断るシーン」が成長してなさ満載で超つらい。

成瀬に「このお店(おっぱいバー)白木さんに紹介してもらったんですぅ^^」とか自分の知らない白木出されて嫉妬して飲みすぎて浮気、浮気がバレたら逆ギレ、幻覚症状の果てに暴力事件。さらに白木が生前、姉である唯に姉弟愛以上の気持ちを抱いていて(唯も同じく)、ごっちの死の真相は「姉の死の後追い」だったということが発覚。あ~あ~しょーもな!/(^o^)\(河鳥くん、そこだけは同情します!)

自分が見てきた、確かに大親友だったはずの白木は、果たして本当に自分が見てきたとおりの人間だったか?
白木(の幻覚)が「僕のことはわからないままでいい」「僕は姉にはなれなかった」と河鳥を許容することで、河鳥はやっと白木(の幻覚)から解放されていきます。原作で私が見ていた2つの魂の融合とは全く逆の<決別>をしていくラストシーンは、2回見てようやく腑に落ちた感覚がありました。


「私たちの目に見える色っていうのはね、反射した光の色なのよ」

「その物質が嫌って弾かれた色が私たちの目には映っているのよ。この石の灰色も葉の緑も、私たちの肌の色も。ごっちの赤いほっぺたもね。」

 

 ※「ピンクとグレー」より引用

成瀬/三神といった原作にないキャラクターの登場や、ごっちとお姉さんの関係性、りばちゃんの性格など、原作と異なる要素も多い映画版だったけれど、それは自分の中のピンクとグレーを見つめなおすきっかけにもなって楽しかった。

これからも加藤シゲアキ作品が、色んな監督の手で映画化・ドラマ化され、さまざまな角度から照らされる光に反射し、鮮やかな色を生んで行くことを願ってやみません。


*1:ラストシーンの受け取り方は人それぞれなので表現に乖離がありましたらお許しを…

*2:原作ファンとして、想像していたシーンがそのまま動いてる感動にひきずられていたのは多分にあるかもしれない

*3:デュポンを持ってはいるので何かしらで手に入れてはいるが、どういう経緯で手に入れたのかは分からない